【2025年最新】ものづくり補助金で設備投資を最大化!合否に差をつける失敗しないポイントも解説
2025年3月19日

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ものづくり補助金は設備投資を補助し、生産性向上を助ける制度
ものづくり補助金とは、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、革新的な新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを補助してくれる制度です。
さらに設備投資以外にも、プロセスの改善やDX推進の取り組みでも補助対象になるケースがあります。
※対象経費について詳しくは「ものづくり補助金で対象になる8つの経費」にて紹介します。
付加価値額の増加や従業員の給与引き上げなどの条件が設定されているものの、受給できる金額が大きいため高額な設備・システムの導入に役立ちます。
ただ、活用できるのは中小企業・小規模事業者等です。会社規模の判断は業種と資本金、常勤従業員数により以下のように定められています。


また、一部の特定事業者や特定非営利活動法人、社会福祉法人も対象になる可能性があります。
ものづくり補助金で達成すべき4つの基本条件
補助を受けるためには、以下の4つの条件を達成する事業計画でなければなりません。
- 付加価値額:年平均成長率+3%以上増加
- 給与支給総額:年平均成長率+2%以上増加
- 事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上
- 従業員の仕事・子育て両立要件:一般事業主行動計画を公表(従業員数21人以上の場合のみ)
条件を達成できないと、補助金の返還が求められることもあるため、どのような内容なのかしっかりと見ていきましょう。
1.付加価値額の増加
ものづくり補助金では、付加価値額を年平均成長率+3%以上増加させなければなりません。
ものづくり補助金における付加価値額とは、「営業利益・人件費・減価償却費」を足したものです。一般的に使われる付加価値額とは算出方法が異なるためご注意ください。
申請時に提出する事業計画には、この付加価値額を3〜5年で設定される事業計画期間内に事業者全体で年平均成長率3%以上増加させる計画を作って提出しなければいけません。
付加価値額が年平均3%増額するとしたらどれくらいなのか、具体的な例で計算すると以下のようになります。(小数点以下切り上げ)

【取り組み前の状況】
- 営業利益:1,000万円
- 人件費:1,200万円
- 減価償却費:300万円
- 付加価値額:2,500万円
取り組み前 | 1年後 | 2年後 | 3年後 |
2,500万円 | 2,575万円 | 2,653万円 | 2,733万円 |
3つの条件のうち、付加価値額のみ未達成時のペナルティはありません。ただし、付加価値額が増加しているにも関わらず、残り2つの条件いずれかが未達成の場合、補助金の返還が必要なためご注意ください。
2.給与支給総額の増加
ものづくり補助金は、従業員の給与支給総額を年平均で2%以上増加させることが必要です。
ここでいう給与支給総額は、非常勤を含む全従業員と役員を対象に支払った給与等を差します。計算に入れる費用と入れない費用があるため、まずは以下の表をご覧ください。
給与支給総額の計算に入れる費用 | 給与・賞与・役員報酬 |
給与支給総額の計算に入れない費用 | 福利厚生費・法定福利費・退職金 |
これらの項目を足して計算した給与支給総額を、事業期間内で年平均成長率を1.5%以上増加させる必要があります。
ただし、給与支給総額の年平均成長率の計算では、複利計算で算出しなければならない点に注意が必要です。
給与支給総額を年平均2%増加させた場合の具体的な数値例は、以下の通りです。

3.最低賃金の引上げ
ものづくり補助金に申請するならば、事業計画期間において、事業場内最低賃金と地域別最低賃金と比較し+30円以上の状態をキープする必要があります。
事業場内最低賃金とはひとつの事業場内で、最も低い時給のことです。正社員等の正規雇用者だけでなく、アルバイト・パート等の非正規雇用者も含みます。月給制の従業員しかいない場合も、時給換算を行って算出します。
地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められた最低賃金であり、毎年10月に変更されます。事業計画期間中は、常に地域別最低賃金から+30円以上になっていなければなりません。
つまり、仮に10月に地域別最低賃金が上がった場合、その新しい最低賃金から+30円以上になるよう事業場内最低賃金を引き上げなければなりません。申請時に賃金+30円以上上げたからと言って、それで対応が完了になるわけではないのです。
例えば、申請時に事業場内最低賃金を1,100円にしたとします。
その場合、以下のような最低賃金の変更があれば、3年目に1,130円にしなければならないのです。
取り組み期間 | 10月に設定された地域別最低賃金 | 条件を満たす事業場内最低賃金 | 必要な対応 |
1年目 | 1,010円 | 1,040円以上 | 対応不要 |
2年目 | 1,020円 | 1,050円以上 | 対応不要 |
3年目 | 1,100円 | 1,130円以上 | 条件を満たさないため、1,130円以上に変更が必要 |
4.従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数21人以上の場合のみ)
一般型では、従業員が21人以上の状態に限り「一般事業主行動計画」を「両立支援のひろば」というサイトページ上に公表する必要があります。
すでに公表している場合は、公表先のURLを記載するのみで問題ありません。
一方で、応募の時点で公表していない場合は公表する旨を宣誓する必要があります。
ものづくり補助金には2つの枠!個別の条件も設定されている
ものづくり補助金には以下の3つの枠があり、それぞれに条件が設定されています。
- 製品・サービス高付加価値化枠:最大2,500万円
- グローバル枠:最大3,000万円
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業との共同で行う事業
国内で新製品・新サービスを展開する予定なら「製品・サービス高付加価値化枠」を、海外展開を行うなら「グローバル枠」をご覧ください。

※大幅な賃上げを行うと特例でさらに上限額が上がります、ここでの最大金額は特例なしの金額なためご認識おきください
1.製品・サービス高付加価値化枠:最大2,500万円
製品・サービス高付加価値化枠は、ものづくり補助金の中でもスタンダードな枠です。
革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム等への投資を支援する枠であり、以下のような条件が求められます。
革新的な製品・サービス開発の定義は以下のようなものです。
- 目的が「顧客に新たな価値を提供する」こと
- 目的を達成するために設備・システム等を導入する
- 導入した設備・システムと自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発する
【従業員別の補助上限額と企業規模別の補助率】
従業員数 | 補助上限額 |
5人以下 | 750万円 |
6~20人 | 1,000万円 |
21人~50人 | 1,500万円 |
51人以上 | 2,500万円 |
補助率 | |
中小企業 | 1/2 |
小規模事業者 再生事業者 | 2/3 |
2.グローバル枠:最大3,000万円
グローバル枠は海外事業に関する取り組みを実施し、国内の生産性を高める設備・システム投資等を補助する枠です。
【企業規模別の補助上限額と補助率】
補助上限額 | 補助率 | |
中小企業 | 3,000万円 | 1/2 |
小規模事業者 | 2/3 |
グローバル枠を申請する際に追加される共通条件は以下の通りです。
- 海外事業に関する実現可能性調査を実施している
- 社内に海外事業の専門人材を有しているまたは、海外事業に関する外部専門家と連携している
グローバル枠は、さらに以下4つに分類されており、それら4つの事業ごとに個別の条件が用意されています。
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業との共同で行う事業
2-1.海外への直接投資に関する事業
海外への直接投資に関する事業は、海外支店や海外に子会社がある場合に申請できる枠です。
海外への直接投資に関する事業で、ものづくり補助金を利用する場合は、以下の条件が追加で求められます。
【海外への直接投資に関する事業の追加条件】
- 日本国内の本社を補助事業者として、以下のいずれかを満たす
- 補助対象経費の1/2以上が海外支店の取り組みに充てられること
- 海外子会社の事業活動に対する外注費、貸与する機械装置・システム構築地に充てられること
- 国内事業所においても、海外事業と一体的な機械装置などを取得・設備投資すること
- 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成がわかる資料を提出する
- 事業報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出する
海外事業と一体的な機械装置などを取得・設備投資とは、例えば以下のようなものです。
- 日本本社と海外子会社が相互に連携して製品の製作を高速化するための投資
- 日本本社と海外子会社との間で、同一の在庫管理や販売にかかわるシステムを構築する費用
2-2.海外市場開拓(輸出)に関する事業
海外市場開拓(輸出)に関する事業は、海外向けに製品等を販売する時に申請できる枠です。
海外への直接投資に関する事業で、ものづくり補助金を利用する場合は、以下の条件が追加で求められます。
【海外市場開拓(輸出)に関する事業の追加条件】
- 国内に補助事業実施場所を持ち、最終販売先の1/2以上が海外顧客となり、取り組み期間中の売上累計額が補助金額を上回る事業計画であること
- 応募申請時に、事前の市場調査に基づく想定顧客が具体的にわかる海外市場調査報告書を提出する
- 実績報告時に、想定顧客により試作品等の性能評価報告書を提出する
2-3.インバウンド対応に関する事業
インバウンド対応に関する事業は、訪日外国人向けの製品・サービスについて取り組む時に申請できる枠です。
海外への直接投資に関する事業で、ものづくり補助金を利用する場合は、以下の条件が追加で求められます。
【インバウンド対応に関する事業の追加条件】
- 国内に補助事業実施場所を持ち、製品・サービス等の1/2以上が訪日外国人であり、取り組み期間中の売上累計額が補助金額を上回る事業計画であること
- 応募申請時に、想定顧客が具体的にわかるインバウンド市場調査報告書を提出する
- 実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を提出する
プロトタイプの仮説検証とは、機械装置・システムについて計画の初期段階で立てた計画通りの機能や操作性が実現できたか、想定していた効果が得られたかを評価します。
2-4.海外企業との共同で行う事業
海外企業との共同で行う事業は、外国法人と共に行う研究や事業がある時に申請できる枠です。
海外への直接投資に関する事業で、ものづくり補助金を利用する場合は、以下の条件が追加で求められます。
【海外企業との共同で行う事業の追加条件】
- 国内に補助事業実施場所を持ち、外国法人と行う共同研究・共同事業開発にともなう設備投資等があり、成果物の権利の全部または一部が国内の補助事業者に帰属すること
- 応募申請時に、共同研究契約書または業務提携契約書を提出する
- 実績報告時に、当該契約の進捗がわかる実績報告書を提出する
【高額設備も導入できる!】ものづくり補助金の3つのメリット
ものづくり補助金のメリットは以下の3つです。
- 新製品・新サービスの成功確率を上げられる
- 売上アップのための施策を打てる
- 補助上限額が高く高額な設備投資も可能
メリットを知っておくことで、ものづくり補助金を活用する具体的なイメージがつけられるため、ぜひご覧ください。
1.新製品・新サービスの成功確率を上げられる
ものづくり補助金で採択されるためには、行う取り組みが市場のニーズを満たしており、成功する見込みがある製品・サービスでなければなりません。
申請する前に市場調査・ニーズ把握などが求められるため、行う取り組みの失敗リスクを減らせます。また、綿密な事業計画書を作成しなければならないため、取り組みのブラッシュアップが可能です。
ものづくり補助金で採択されたということは、実現性が十分にあり、事務局が投資に値すると判断したということです。
反対に不採択だったとしても、電話でその理由を確認できます。つまり、その取り組みの改善点がわかります。
時間をかけて申請する以上は採択されたいところですが、どちらに転んでも事業にとってはプラスであるとご認識おきください。
2.売上アップのための施策を打てる
市場ニーズがありながら生産ラインの問題で生産数を増やせないといった場合、ものづくり補助金で自社に合う設備・システムを導入することで生産性を向上させられるケースがあります。
必要十分な数を生産できるようになれば、売上アップに繋がるため、売上機会の損失が懸念されていた場合は、解決に繋げられる可能性があります。
また、既存事業から派生した新たな商品・サービスの開発を新設備等でできれば、新規市場への販路開拓も夢ではありません。
3.補助上限額が高く高額な設備投資も可能
ものづくり補助金は他の助成金・補助金と比較すると、上限金額が高く設定されています。
従業員5名以下の小規模事業者でも、最高750万円までの補助が可能で、従業員51名以上であれば2,500万円もの補助を受けられる可能性があります。
どの枠も取り組みにかかる経費の半額以上を補助してくれるため、金額を理由に開発できていなかった製品の開発が可能です。
ものづくり補助金で対象になる8つの経費
ものづくり補助金では、以下の8つの経費が補助の対象になります。
- 機械装置・システム構築費
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
上記のうち、「1.機械装置・システム構築費」は導入することが必須で、単価が税抜き50万円以上の装置・システムを導入しなければなりません。その他の2から8の経費については、必要に応じてプラスしていきます。
海外市場開拓(輸出)に関する事業だけは、以下の経費が追加で認められます。
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
- 広告宣伝・販売促進費
ただし、単価が税抜き50万円以上の装置については一定期間の処分制限があります。定められている処分制限期間内に処分してはならないという制限であり、処分しようとする場合は補助金事務局の事前承認を受けなければならないためご注意ください。
ものづくり補助金を申請する4つの注意点
ものづくり補助金を申請する時は、以下の4つの点に注意しましょう。
- 採択後でなければ経費は補助金の対象にならない
- 経費の支払いは原則銀行振込で行う必要がある
- 「グローバル市場開拓枠」など名称が変更になった枠がある
- 取り組み後5年間の事業化状況報告書を提出する必要がある
注意点を事前におさえておくことで、補助金の対象外になるリスクを減らせます。
1.採択後でなければ経費は補助金の対象にならない
交付決定を受けてからでなければ、経費を補助金の対象にできません。
ものづくり補助金の交付を受けた日以降に発注をし、補助事業実施期間として定められている期間の間に支払いまで完了させる必要があります。
もしも交付決定の審査時期に300万円の機械を導入してしまい、交付決定後別の100万円の機械を導入した場合、300万円は対象にならず、100万円分のみ対象となります。
機械装置の購入やシステム構築など、ものづくり補助金を受けたい機材・システムがあるなら必ず交付決定後に購入・契約を行いましょう。
2.経費の支払いは原則銀行振込で行う必要がある
経費の支払い方法は原則、銀行振込で行う必要があります。
クレジットカードでの決済を行う場合は、会社であれば法人カード、個人事業主であれば本人名義のカードでなければなりません。また、支払い日はもちろん、引き落とし日も取り組みの計画期間内である必要があるためご注意ください。
また経費が10万円以下の場合、事務局に事前確認し、許可が下りれば現金払いにできるケースもあります。ただし、事前確認なしで現金払いしてしまったら対象外になる旨をご認識おきください。
3.「グローバル市場開拓枠」など名称や要件等がが変更になった枠がある
補助金は、公募ごとに情報が更新されます。
ものづくり補助金も過去の公募からは名称や条件が変更になっているものもあるので、情報収集を行う際はご注意ください。
特にものづくり補助金はここ数年で変更が多い補助金なので、インターネット上の情報を探す際は注意が必要です。

※18次は省力化枠が追加され3つの枠になったのみなため割愛しています
名称の変更だけでなく、枠そのものが無くなったり、条件が変更されたりすることもあります。申請時には、必ず最新の情報をご確認ください。
4.取り組み後5年間の事業化状況報告書を提出する必要がある
補助金を受給後、5年間は事業化状況報告書を提出する必要があります。
受給して終わりでなく、毎年4月に計6回状況報告をして、一定条件を満たせなければ補助金を返還しなければならないこともあります。
補助金の返還が必要になるケースは、次の項目で解説しているのであわせて見ていきましょう。
ものづくり補助金の返還が必要になる3つのケース
ものづくり補助金の返還が必要になるのは、以下の3つのケースです。
- 給与支給総額や事業場内最低賃金の増加目標が未達だった場合
- 補助対象者でなくなった場合
- 不注意によって導入した機械等が焼失・紛失した場合
最悪のケースでは受け取った補助金を使い切った後に返還が求められてしまい、事業継続が困難になってしまうこともあります。
事前に補助金の返還ケースをおさえておき、リスクを最小限にしましょう。
1.給与支給総額や事業場内最低賃金の増加目標が未達だった場合
給与支給総額や事業場内最低賃金の増加目標が未達だった場合は、補助金の一部返還が求められます。
ただし、「天災などの事業者に責任がない場合」や「再生事業者である場合」など返還が免除される場合もあります。再生事業者とは、中小企業活性化協議会等から支援を受けて「再生計画」などを提出している事業者のことです。
また、事業場内最低賃金の目標と、給与支給総額の目標未達の場合はそれぞれ以下の条件に合致すると返還が免除されます。

2.補助対象者でなくなった場合
ものづくり補助金の取り組み終了後5年以内に、自社が補助対象者でなくなった場合、一部または全額の返還が必要です。
例えば、取り組みを開始した時は中小企業だったものの、従業員を多く雇用し、分類が大企業になってしまった場合などが挙げられます。
ただし、小規模事業者から中小企業になった場合は、引き続き補助金の対象になります。補助率のみが変更になるため、従業員人数の変動がある場合は事務局に確認しましょう。
3.不注意によって導入した機械等が焼失・紛失した場合
補助金には「善管注意義務」が適用されます。善管注意義務とは「補助金を使って得た機械装置等は適切な管理を行わなければならない」という義務です。
不注意によって導入した設備機械等が焼失・紛失した場合、善管注意義務違反として交付決定の取り消しや補助金の返還が求められることがあります。
補助金の公募要領にも被害に対して損害を保証する保険や共済に入ることを強く推奨する旨が記載されています。万が一のことを考えて、保管場所の選定や保険等への加入を検討しましょう。
ものづくり補助金申請の流れ
ものづくり補助金を申請する際は以下の流れに沿って行います。
- GビズIDプライムアカウントの取得
- Jグランツに登録
- 3~5年の事業計画の立案
- 申請書の提出
- 書類・口頭審査
- 採択発表
- 交付申請・決定
- 補助事業(取り組み)実施期間、事業実施、中間検査、実績報告
- 確定検査・交付額の決定
- 補助金の請求
- 補助金の支払い
- 事業化状況の報告
申請は電子申請のみ可能であり、電子申請のためにはGビズIDプライムアカウントの発行と、Jグランツへの登録が必要です。
GビズIDプライムアカウントの取得は2パターンあります。マイナンバーカードとNFC機能付きのスマートフォンがある場合は、電子登録ができ最短即日発行が可能です。書類を郵送して登録する場合は、2〜3週間ほど期間が必要なため、早めに準備しておきましょう。
また、補助申請額が一定規模以上になるとオンラインでの口頭審査が行われます。口頭審査では、以下のような内容を質問されるため、事前に把握しておきましょう。
- 取り組みの適格性、革新性、他社と比較しての優位性、実現可能性
- 取り組みの申請にかかわる意思決定の背景
- 事業実施に際しての事前のマーケティング調査
など
口頭審査については申請事業者本人のみが参加可能であり、個室などを用意し他の従業員の姿や声がカメラやマイクに映らないようにしなければなりません。また、顔写真付きの身分証明書が必要な点にもご注意ください。
ものづくり補助金審査の4つのポイント
ものづくり補助金の審査のポイントは以下の4つです。
- 経営力
- 事業性
- 実現可能性
- 政策面
それぞれの審査ポイントをおさえておくことで、より採択されやすい事業計画を作成できるようになります。
1.経営力
経営力では、新製品・新サービスなど行う取り組みが自社にとって最適な選択になっているかを判断されます。
- ものづくり補助金を通じて行う取り組みの経営目標が明確か
- 外部環境と内部環境についてそれぞれ分析したうえで、効果的な事業になっているか
- 会社全体の売上高に対して、行う取り組みが高い水準になることが見込まれるか
2.事業性
事業性では、取り組みを行うにあたって事業として現実的に成り立つかが見られます。
- 設定された目標値が実現可能かつ、高い付加価値の創出や賃上げを実現するものになっているか
- 取り組みに関する課題が明確化され、適切な解決方法が示されている
- 取り組みに関する市場の規模や動向は分析されているか、その市場は今後成長が見込まれるか
- 行う取り組みによって顧客に与える価値が明確化されているか、ターゲットやニーズが明確か
- 行う取り組みの新製品・新サービスと競合する他社商品・サービスや代替品について分析されているか、自社が差別化され優位性があるか
【グローバル枠のみ】
グローバル枠に申請する場合のみ、以下のポイントもチェックされます。
- 海外展開などに必要な実施体制や計画が明記されているか
- 事前の十分な市場調査分析を行ったうえで、競争力の高い製品・サービス開発になっているか
- 国内の地域経済に寄与するものであるか
- 将来的に国内地域での新たな需要や雇用を生み出す視点があるか
- ブランディング・プロモーション等の具体的なマーケティング戦略が、事業計画書に記載されているか
3.実現可能性
実現可能性は、技術的・金銭的に取り組みを行えるだけの力を有しているかを見られます。
- 取り組みを行うために技術力が、競合他社よりも優位なものか
- 社内外(人材、専門的知見、事務処理能力等)の体制や最近の財務状況などから現実的に遂行できるか、また金融機関等から十分な資金調達ができるか
- スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当なものか
- 補助金を受給できたとして、費用対効果は高いか
- 計画の内容と補助対象経費の整合が取れているか、費用対効果が明記されているか
4.政策面
政策面では、様々な視点から日本経済の成長に貢献し得る取り組みかを判断されます。全てを満たすのではなく、自社が行う取り組みの強みを明確にしアピールしましょう。
- 地域の特性を活かして高い付加価値を生み出し、地域の事業者等や雇用創出など経済的な影響を与え、地域経済の成長に繋がる取り組みか
- ニッチな分野において適切なマーケティングを行い、差別化を図っている取り組みで、グローバル市場でもトップになる潜在性があるか
- 単独では解決が難しい課題について、複数の事業者が連携して取り組むことで高い生産性向上が期待できるか
- 異なる強みを持つ複数の企業等が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的な影響が期待できるか
- 事業承継をきっかけとして新しい取り組みを行うなど、経済資源の有効活用が期待できるか
- 先進的なデジタル技術や低炭素技術など今の経済社会のとって特に重要な技術を活用しているか
- 新しいビジネスモデルの構築などを通じて、日本のイノベーションを牽引するか
政策面では、自社だけでなく他の事業者等に影響を与える取り組みであることを伝えます。特に経済的な影響を見られるため、予測値を記載するなど具体的な数値を出せるよう準備しておきましょう。
【採択率を高める】事業計画書作成のポイント
ここでは、事業計画書作成のポイントについて解説します。
- 定性的・定量的情報を用いて具体的な理由・根拠を示しながら詳細に記載する
- 必要に応じて図表や写真を挿入する
- 外部環境・内部環境を分析し、会社のビジョン・目標と照らし合わせた時に何が課題かを示す
- 機械装置やシステム構築等の設備投資を行わなければならない理由(必要性)を明確にする
- 設備投資・取り組み内容、成果目標、達成手段について具体的に示す※1
- 対象ユーザーやマーケットを明確にし、競合との価格的・性能的な優位性を示す
- 目標となる時期・売上規模・量産化時の製品価格等を簡潔に記載する
- 達成すべき数値の算出根拠は具体的に示す※2
運転資本の調達計画がある場合はその内容も記載します。
※1の詳細は以下の通りです

※2達成すべき数値は以下の通り
- 付加価値額目標値
- 給与支給総額目標値
- 1人あたりの給与支給総額目標値
- 事業所内最低賃金目標値
詳しくは「ものづくり補助金で達成すべき4つの基本条件」をご覧ください
また、申請する枠ごとに以下のようなポイントが定められています。
【製品・サービス高付加価値化枠】
開発する製品・サービスの革新性について具体的かつ詳細に記載
【グローバル枠】
広告宣伝・販売促進費を対象経費に計上する場合においては、ブランディング・プロモーション等のマーケティング戦略を具体的かつ詳細に記載
以上のポイントを踏まえて事業計画書を作成しましょう。
【ここで差がつく】ものづくり補助金の加点項目
ものづくり補助金には「加点要件」と呼ばれる、採択の審査で有利になる条件があります。
全15個の項目に分かれており、全ての加点要件の中で、最大6項目分まで申請が可能です。ただし、申請すれば全て適用されるというわけではなく審査の結果、合致した要件のみが適用されます。
今回は、15個の加点要件を見やすくするため4つのカテゴリーに分類しました。
- 会社の取り組みによる加点要件
- 登録・公表することによる加点要件
- 認定・認証による加点要件
- その他の加点要件
ぜひ貴社で使えそうな加点要件がないか、ご確認ください。
【会社の取り組みによる加点要件】
加点要件 | 内容 |
賃上げ | 取り組み終了後3~5年の事業計画期間内に、給与の年平均成長率を4%以上、最低賃金と毎年3月に+40円以上に目標値を設定 |
被用者保険 | 従業員規模50名以下の中小企業が被用者保険の任意適用に取り組む場合 |
上記で特に注意が必要なのは「賃上げ」です。賃上げによる加点で採択された場合、予定通りに賃上げを行わなければペナルティがあります。

【登録・公表することによる加点要件】
加点要件 | 内容 |
成長加速化マッチングサービス | 中小企業庁の「成長加速化マッチングサービス」で会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者 |
パートナーシップ構築宣言 | パートナーシップ構築宣言ポータルサイトで宣言を公表している |
新規輸出1万者支援プログラム (グローバル枠のみ) | 新規輸出1万者支援プログラムポータルサイトに登録している |
これらの加点要件は、サイトへの登録や宣言の公表などによって加点されます。加点要件の中では比較的難易度が低く、取り組みやすいものが多いため、優先的にチェックすることをおすすめします。
ただし、自社の方針に合わないサイトへ登録すると、後々対応に困る可能性があります。各サイトの内容を十分に確認し、自社にとって無理のないものを選びましょう。
【認定・認証による加点要件】
加点要件 | 内容 |
経営革新計画 | 「経営革新計画」の承認を取得している |
事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画 | 申請の段階で、事業継続力強化計画(連携を含む)を取得している事業者 |
健康経営優良法人認定 | 「健康経営優良法人2025」に認定されている |
えるぼし認定 | 「えるぼし認定」を取得している |
くるみん認定 | 「くるみん認定」を取得している |
DX認定 | 「DX認定」を取得している |
技術情報管理認証 | 「技術情報管理認証」を取得している |
J-Startup(地域版含む) | 「J-Startup(地域版含む)」に認定されている |
これらの加点要件は、特定の条件を満たし、認定や認証を受けることで加点されます。
すでに自社で取得している認証や取り組みがあれば、加点対象となる可能性が高いため、一度確認してみましょう。
取得した認定が無い場合は、認証の難易度が全体的に高いため、まずは他の加点要件を優先的に確認することをおすすめします。
【その他の加点要件】
加点要件 | 内容 |
事業承継/M&A | 申請日から過去3年以内に事業承継によって経営資源を引き継いでいる |
再生事業者 | 以下のうちどちらかを満たす 1.再生計画等を「策定中」である 2.再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内に再生計画等が成立した |
ものづくり補助金の3つの採択事例
ここでは、ものづくり補助金の事例を紹介します。事例を見ると、補助金活用後にどういった未来が待っているかイメージできるため、それぞれ見ていきましょう。
事例1:ICT・IoTで管理制度を整えたことにより生産性を向上させた事例
この事例では、ものづくり補助金を活用し、機械導入や社内ICT・IoT環境を整備しています。この整備により、オフィス内のPCや経営電話・タブレット端末から現状を一括管理できるようになりました。
特に設備ごとの負荷状況を管理しやすくなったため、融通性の高い生産計画の立案ができるようになり、結果として加工時間が従来の2/3まで短縮できたとのことです。
さらに、管理を簡易化したことで、新入社員に対して社内の全工程を教育・指導し、どの従業員でも一連の作業を同じレベルで行える「多能工化」を進めています。補助金を活用して管理環境を整備すると、作業の属人化を防ぐ突破口にもなり得ます。
事例2:自社開発のシステムで他社にも影響を与えた事例
工業塗装を行っている企業であり、自動車部品や建築金物、航空宇宙部品等への塗装を主に行っていました。大手自動車メーカーが脱炭素化に向けた目標を掲げたことを受けて、この会社でも脱炭素・廃棄物ゼロを目指しています。
ものづくり補助金の対象になったのは、塗料使用量を最小限に抑える技術の開発です。IoTシステムを自社開発し、塗装装置と接続することで従来より少ない塗料での塗装に成功しています。
また、このシステムは同業他社向けに販売され、事業化にも成功しているとのことです。この事例のように、補助金を得て自社の問題を解決し、その他の会社にも影響を及ぼすケースもあります。
事例3:生産数向上の問題を解決し国内外で利益を上げた事例
この企業では、地元の名物をモチーフにしたビールを販売しています。海外からのニーズもありましたが、機械導入前では生産力が足りずに応えられない状態でした。
しかし、ものづくり補助金を活用しながら「自動充てん機ライン」を開発・導入することで、1時間350本だった生産数は1,500本に増加し、生産能力の問題を解決しています。
さらに、生産中の異常感知センサーと社内LANを機械に連携させ「IoT型自動充てん機」に進化させたことで生産コストを約8割減させたとのことです。
これにより、国内外両方のニーズに応えチャンスロスを防ぐとともに、生産コストの低減でより大きな収益向上を達成しました。
このように補助金を活用し、課題を解決することで社内事業が一気に加速することもあります。
ものづくり補助金申請でよくあるQ&A
ここではものづくり補助金の申請前によくあるQ&Aを紹介します。
Q.個人事業主でも申請できる?
ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能です。従業員がいない場合でも申請できます。
Q.3〜5年の事業計画の期間は、自由に定めていい?
事業計画の期間は3〜5年の範囲で自由に決められます。取り組みに必要な期間を設定しましょう。ただし、年数が増えると、その分人件費を上げる必要があるためご注意ください。
また、事業計画の期間に関わらず、事業終了後5年間は状況報告が必要になります。
Q.導入する設備は中古でも問題ない?
3者以上からの見積もりを取っている場合は、中古の設備でも補助金の対象になります。
ただし、見積もりには型式や年式が記載されている必要があり、取引先は中古品流通事業者でなければなりません。
見積もりを取らずに中古設備を導入してしまった場合、補助金の対象外になるためご注意ください。
Q.採択倍率はどれくらい?
採択倍率は公募回により異なりますが、ここ直近の採択倍率は以下の通りです。
採択発表年 | 採択倍率 | 総応募数 | 総採択数 |
2024年 | 約2.4倍 | 12,014 | 4,993 |
2023年 | 約1.9倍 | 13,881 | 7,258 |
2022年 | 約1.6倍 | 20,560 | 12,363 |
準備を万全に行えれば、現実的に受給可能な補助金なので、本記事の情報を見返しながらぜひ申請に向け準備を整えていただければ幸いです。
Q.外部SIerの活用は必須?
必須ではありません。外部SIerを活用せずに専門家に依頼するなどして自社の設備・システムを開発した場合もものづくり補助金の対象になり得ます。
もし外部SIerを活用する場合は、保守・メンテナンス契約を締結しなければならないためご注意ください。
ものづくり補助金の申請でお困りなら社長の顧問にご相談ください
本記事をお読みいただいた通り、ものづくり補助金は条件が複雑です。いざ申請しようとした場合に事業計画書や申請システム等つまずくポイントが多くあります。
そんな時は弊社「社長の顧問」にご相談ください。
補助金の制度内容で不明なところは専任のコンシェルジュがお答えし、申請する際には補助金申請に強い専門家とマッチングさせていただきます。
事前準備は社長の顧問がサポートし、申請段階では専門家と相談しながら事業計画書を作成し~申請方法の確認ができますので、はじめての方でも安心です。
特に製造業などで高価な設備・システムの導入さえ行えれば売り上げが伸びる見込みがある場合などは活用のチャンスです。
ぜひこの機会に補助金申請にチャレンジしていただければ幸いです。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ:新製品・新サービスを開発するならものづくり補助金で事業を加速させよう!
ものづくり補助金は革新的な新製品・新サービスを開発するための設備・システム投資等にかかる経費の一部を負担してくれる制度です。
細かい条件はあるものの、活用できれば1,000万円以上の金額を受け取れることも珍しくありません。値段がネックで設備・システム導入を見送っているのであれば、今がチャンスです。
本来であれば金額的な理由で導入までに時間がかかる設備も、補助金を活用することでより短期間で導入できます。導入が早ければその分生産性や売り上げが向上し、より事業を成長させられます。
「あの時申請を諦めたばっかりに、競合他社と差が開いてしまった...」と後悔しないためにも、専門家と相談しながら、補助金申請を進めてみませんか?
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